Y’Caringのホスピタルアートの取り組み
Y’Caringでは、新たな活動のひとつとして、ホスピタルアートの取り組みを始めています。
ホスピタルアートとは、病院や高齢者施設、福祉施設など、医療やケアが行われる空間にアートを取り入れ、そこにいる人たちの心や環境に働きかけていこうとする取り組みです。
それは単に「壁に絵を飾る」ということではありません。
病院の待合室で診察を待つ時間。
治療や検査を前にした少し不安な時間。
施設で毎日を過ごす人の暮らし。
そこで働くスタッフの忙しい一日。
そうした日常の中に一枚の絵があることで、ふと目を止めたり、何かを感じたり、誰かと会話が生まれたりする。
アートには、医療やケアとはまた違った方法で、人の心に触れる力があると考えています。
ヨーロッパで見てきた「ケアとアート」
私はこれまで、北欧をはじめ、ドイツ、イタリア、スイスなど、さまざまな国の医療・高齢者ケアの現場を訪ねてきました。
そこで何度も印象に残ったのが、医療や福祉の空間の中に、アートがごく自然に存在していることでした。
廊下や共有スペースに絵があり、彫刻があり、色彩があり、時には地域の人や利用者自身が制作した作品が飾られている。
そこには、「ここは病気や老いだけを見る場所ではなく、一人の人間が生活する場所なのだ」という考え方が感じられました。
機能性や安全性だけでなく、人がその場所でどのように感じ、どのように過ごすのか。
その視点を大切にしていることに、私は強く共感してきました。
私自身も、2016年から施設でアートを取り入れてきました
実は、今回初めてアートとケアを結びつけたわけではありません。
長年、高齢者施設の運営やケアに携わる中で、2016年頃から、施設の中に積極的にアートを取り入れてきました。
絵を飾ること。
季節を感じられる空間をつくること。
利用者の方やスタッフが作品に触れられる機会をつくること。
当時はそれを「ホスピタルアート」という言葉で強く意識していたわけではありません。
けれど今振り返ると、私が大切にしてきたのは、まさに
「ケアを受ける場所を、ただの施設ではなく、人が暮らす場所にしたい」
という思いだったのだと思います。
日本でも、もっと自然にアートのある医療・ケア空間を
日本の病院や施設は、安全性や機能性という面ではとても優れています。
一方で、白い壁、長い廊下、無機質な待合室など、どうしても「医療のための空間」になりやすい側面もあります。
もちろん、すべての場所を大きく変える必要はありません。
一枚の絵を飾ることからでもいい。
その作品を見て、
「きれいですね」
「私はこの色が好きです」
「これは何に見えますか?」
そんな小さな会話が生まれるだけでも、その場所の空気は少し変わります。
私は海外の医療・福祉施設を訪ねる中で見てきたことと、自分自身が長くケアの現場で経験してきたことをつなぎながら、日本でもこうした取り組みを少しずつ広げていきたいと考えています。
最初の一歩が始まりました
今回、その第一歩として、あるクリニックにご協力いただき、実際に作品を院内に展示していただくことができました。
まずは一定期間、作品を置いていただき、患者さん、ご家族、そしてスタッフの皆さんがどのように感じるのかを見ていきます。


大きなプロジェクトから始めるのではなく、
一枚の絵を、一つの場所へ。
そこから生まれる変化を丁寧に見ていきたいと思っています。
今後は、病院やクリニックだけでなく、高齢者施設や福祉施設などにも活動を広げながら、アーティストと医療・ケアの現場をつなぐ役割にも取り組んでいきます。
アートが人を治療するわけではありません。
けれど、少し心をゆるめたり、誰かとの会話を生み出したり、その人らしい時間を取り戻すきっかけになることはある。
人の「生きる時間」に寄り添うこと。
それは、Y’Caringがこれまで大切にしてきたケアの考え方ともつながっています。
医療、ケア、そしてアート。
一見別々に見えるものをつなぎながら、これから新しい取り組みを育てていきたいと思います。
Hospital Art Project
Y’Caringでは、病院・クリニック・高齢者施設・福祉施設などで作品を展示していただける場所や、この活動に関心を持ってくださる方とのご縁を少しずつ広げています。
ホスピタルアートにご興味のある医療・福祉関係者の方、施設への作品展示についてご相談されたい方は、お気軽にお問い合わせください。




