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一般社団法人アルデバラン

幹細胞治療の可能性と未来~オルト教授の「Stay Young」インタビューより~

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約6分

幹細胞治療の研究が進む中、その可能性と課題について詳しく語られる機会は限られています。オルト教授は、ミュンヘン工科大学やテキサス大学での研究経験を持つ内科と心臓病学の専門家であり、750以上の特許を取得し、幹細胞治療のパイオニアとして知られています。ヒューストンでは幹細胞治療の企業Ingenianを設立しています。

幹細胞治療の最前線で活躍するオルト教授が、ポッドキャスト番組「Stay Young」に出演し、幹細胞治療の現状と将来の可能性について語りました。本ブログでは、そのインタビューを元に、幹細胞治療の仕組みや適応症、承認状況などについて分かりやすくご紹介します。

幹細胞治療の基本と可能性

インタビュー冒頭、司会者は幹細胞治療を「巨大な市場」でありつつも、信頼性の低い情報も多い分野だと指摘しました。これに対しオルト教授は、幹細胞治療の真の価値を説明します。

「幹細胞治療の成功において最も誇りに思うのは、合併症のない治療を多くの患者に提供できたことです」と教授は語ります。幹細胞の主な役割は、体内で損傷した組織を修復し、新たな再生を促すことです。教授は、自身の研究がこの自然な治癒力を引き出すための方法を追求してきたことを強調しました。

幹細胞治療とは?— 患者への負担を最小限に抑えた新たな選択肢

幹細胞治療は患者の身体の自然治癒力を活かす画期的な治療法で、その幹細胞は、腹部脂肪から採取される間葉系幹細胞が主に使用されています。教授はこの方法についてこう語っています。

「耳たぶや皮膚を切除するのは患者にとって大きな損失ですが、少し脂肪を取るだけなら、ほとんどの患者が『少し多めに取っても構わない』とさえ言います。」

腹部脂肪は損傷を最小限に抑えつつ、十分な量の高品質な幹細胞を確保できる最適な部位です。さらに、脂肪組織は幹細胞が豊富に含まれており、そこから抽出される細胞が組織再生に大きく貢献します。

幹細胞治療の流れと効果

教授の治療法は、特殊な酵素を使って脂肪組織を液状化し、そこから幹細胞と再生細胞を分離します。採取された細胞は数時間内に患者に注入され、必要な部位で組織修復を促します

教授はその効果についてこう述べています。「幹細胞は環境の信号を受け取り、適切に分化します。例えば、軟骨や骨、腱の形成に特化しており、必要に応じてその場の環境に応じた役割を果たします。治療後1年以内に新しい軟骨が完全に形成され、その色や組織構造が既存のものと明確に区別できます。この治療は、以下のような疾患や状況に対して特に有効です」

1.関節症や靭帯損傷
幹細胞治療により、膝や股関節の変形性関節症靱帯損傷、腱炎などに使用され、新しい軟骨や腱の形成を促進し、痛みの軽減や可動域の改善が見られます。

2.慢性的な傷
教授の治療例では、70年以上治癒しなかった戦争中の負傷が幹細胞治療によって回復したケースも報告されています。

3.神経系の回復
脊髄損傷や神経損傷を受けた患者に対して幹細胞を使用した場合、運動機能の一部回復が確認されることがあります。

 4.免疫調節と炎症抑制
幹細胞の免疫調節能力により、関節リウマチや慢性炎症の症状改善が期待されています。

これらの成果は、幹細胞が持つ適応力と環境に応じた分化能力によるものです。教授はこれを「細胞が信号を受け取り、必要に応じて役割を果たす能力」と表現しています。

幹細胞治療が注目される理由

オルト教授は幹細胞治療の利点についてこう強調します。「幹細胞治療は、自然な治癒を目指す点で、従来の人工物を使った治療と根本的に異なります。感染や失敗のリスクがなく、患者にとって非常に安全な選択肢です。」と。

従来の治療法では、人工物を使用することで感染症や装置の故障といったリスクが伴いました。しかし幹細胞治療は、体内の自然な修復システムを利用することで、こうしたリスクを回避できるのです。

承認状況と今後の課題

幹細胞治療の普及にはいくつかの課題も残されています。例えば、幹細胞の効果は患者の年齢や健康状態、損傷部位の状態によって異なるため、全ての患者に同じ効果が得られるわけではありません。また、幹細胞治療は新しい技術であるため、長期的な安全性の検証も引き続き必要です。

しかし、教授の取り組みの結果、幹細胞治療は欧州医薬品庁(EMA)やバイエルン州政府の承認を得て、ミュンヘンを拠点とした治療が正式に認められています。また、米国FDAとも協力し、膝関節治療に関する大規模な試験を成功させました。

教授は次のように述べ、さらなる研究と技術革新を進めることで、より多くの患者に幹細胞治療を届けられる未来を目指しています。

「幹細胞治療の承認は重要な一歩です。これは単なる医療の進歩ではなく、多くの患者に新しい希望をもたらすものです。」

幹細胞治療の未来

教授の対談を通じて、幹細胞治療が持つ可能性と課題が明確になりました。幹細胞治療は、現在の医療を補完するだけでなく、新しい治療の選択肢として確立されつつあります。教授の研究と努力は、患者の自然な治癒力を引き出すことに重点を置いており、その成果は既に多くの患者の生活を向上させています。

今後の研究がさらに進むことで、幹細胞治療はより多くの疾患に対応し、より多くの人々に恩恵をもたらすことでしょう。このポッドキャストで語られた内容は、幹細胞治療がいかにして未来の医療を形作る可能性を秘めているかを示しています。

おわりに

私がオルト教授と出逢ったのは、2019年でした。その時この「自己脂肪由来幹細胞治療」について、私だけに1時間以上も説明をして下さったのです。教授のパソコンにはこの治療を説明する多くのデーターが入っており、一つ一つ説明して下さったことが思い出されます。脊髄損傷で四肢麻痺になっている方を教授が治療され、歩けるようになりリハビリをされている動画に驚愕したことは一生忘れないでしょう。この治療が多くの患者様の助けになることは間違いありません。日本での治療が可能になるよう願うばかりです。

この治療にご興味のある方は、私たちアルデバランまでご連絡をお願いします。

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