アルデバラン

一般社団法人アルデバラン

不思議いっぱい!からだのしくみを知ろう 〜⑧ホルモンと内分泌 ― 体内のメッセンジャー〜

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約5分

この連載では、次のようなテーマを一つひとつ掘り下げています。

  1. 呼吸のふしぎ ― 酸素と二酸化炭素の物語
  2. 心臓と血管 ― 24時間働き続けるポンプ
  3. 消化の冒険 ― 食べ物がエネルギーになるまで
  4. 脳と神経 ― 私たちの「司令塔」
  5. 交感神経と副交感神経 ― 自律神経のバランス
  6. 筋肉と骨 ― 体を動かす精密な機械
  7. 尿ができるまで ― 腎臓の小さなろ過装置
  8. ホルモンと内分泌 ― 体内のメッセンジャー
  9. 免疫と防御 ― 体を守る見えない軍隊
  10. まとめ編:体を知ることは自分を大切にすること

今回はその第8回、「ホルモンと内分泌 ― 体内のメッセンジャー」 についてです。

体の中を静かに走り回る「伝令」

私たちの体の中では、毎瞬毎瞬、たくさんの情報がやり取りされています。
神経が「電気信号」で一気に指令を伝えるのに対し、ホルモンは「血液に乗ってゆっくり全身に届くメッセージ」というイメージ。

ホルモンは目に見えず、音もしませんが、

  • 成長
  • 代謝
  • 睡眠
  • 感情
  • ストレス反応
  • 生殖
    といった、人生そのものに関わる働きを担っています。

ホルモンはまさに、体内を巡る静かなメッセンジャーなのです。

内分泌とは何か

ホルモンを血液中に分泌する仕組みを「内分泌(ないぶんぴつ)」といいます。
分泌されたホルモンは、血流に乗って標的となる臓器へ運ばれ、必要な働きを指示します。

ホルモンを分泌する主な臓器には、

  • 視床下部
  • 下垂体
  • 甲状腺
  • 副腎
  • 膵臓
  • 性腺(卵巣・精巣)

などがあります。

これらはそれぞれ勝手に動いているわけではなく、チームとして連携しています。特に「視床下部―下垂体―各内分泌腺」の連携は、ホルモンの司令系統の中心です。


ホルモンは「量」と「タイミング」が命

ホルモンの働きは、とても繊細です。ほんのわずかな量の違い、分泌される時間帯のズレだけで、体調や気分は大きく変わります。

たとえば――

  • 夜に分泌されるメラトニンは、自然な眠りを導く
  • 朝に増えるコルチゾールは、体を目覚めさせ活動モードにする

このリズムが崩れると、「眠れない」「朝がつらい」「一日中だるい」といった不調が現れます。体内時計とホルモンは、切っても切れない関係なのです。

私たちの身近なホルモンたち

<成長ホルモン>

子どもの成長だけでなく、大人にとっても重要なホルモン。睡眠中に多く分泌され、筋肉や骨、皮膚の修復を助けます。「よく眠ること」が若さと回復の鍵なのは、このためです。

<インスリン>

血糖値を下げる働きを持つホルモン。食後に分泌され、血液中の糖を細胞に取り込ませます。
インスリンがうまく働かないと、糖尿病につながります。

<アドレナリン・ノルアドレナリン>

緊張や興奮時に分泌されるホルモン。心拍数を上げ、集中力を高め、「いざ」というときの体を作ります。ただし出すぎると、疲労や不安の原因にもなります。

<セロトニン>

心を安定させるホルモン。日光を浴びたり、リズムのある運動をしたり、人と話すことで分泌が促されます。不足すると、気分の落ち込みにつながりやすくなります。

ストレスとホルモンの関係

ストレスを感じると、副腎からコルチゾールというホルモンが分泌されます。これは体を守るためのホルモンですが、長期間多く出続けると・・・

  • 免疫力の低下
  • 血糖値の上昇
  • 睡眠障害
  • 気分の不安定

といった影響が出てきます。

つまり、ホルモンは「助けにもなり、負担にもなる」存在。だからこそ、ストレスを溜め込みすぎない生活がとても大切なのです。

リラックスがホルモンを整える

リラックスしたとき、副交感神経が優位になり、

  • セロトニン
  • オキシトシン
  • メラトニン

といった“回復系ホルモン”が分泌されやすくなります。

ぬるめのお風呂、深呼吸、自然の中を歩く時間、誰かとの安心できる会話・・・これらはすべて、ホルモンバランスを整える行為です。「何もしない時間」は、決して無駄ではありません。体の中では、静かに修復と調整が進んでいるのです。


年齢とともに変わるホルモン

ホルモンは年齢とともに変化します。成長期、思春期、成熟期、更年期――それぞれの段階で分泌のバランスが変わります。

特に更年期は、ホルモンの急激な変動により、

  • ほてり
  • 動悸
  • 気分の波
  • 不眠

などが起こりやすくなります。これは「心が弱い」のではなく、体の変化による自然な反応です。体の声を知り、受け止めることが何より大切です。

ホルモンを味方につける生活習慣

  • 朝日を浴びる
  • 食事の時間を整える
  • 良質な睡眠をとる
  • 軽い運動を習慣にする
  • 一人で抱え込まない

これらはすべて、ホルモンにとって「働きやすい環境」をつくる行動です。
特別なことをしなくても、生活のリズムを整えるだけで体は応えてくれます。

まとめ:ホルモンは体からの手紙

ホルモンは、体が私たちに送る“手紙”のようなもの。疲れたら「休んで」と知らせ、危険なときは「守るよ」と働き、成長や回復のタイミングを静かに教えてくれています。

体調や気分の変化を、「年のせい」「気のせい」で片づけず、「今、体は何を伝えようとしているのかな」と耳を傾けてみてください。体を知ることは、自分を責めないこと。そして、自分を大切にする第一歩です。

なお、この解剖生理学シリーズは連続ではなく、他の医療・福祉や生活に役立つテーマの記事も挟みながら進めていきます。そのため「ちょっと間が空いたけれど、次のテーマがきた!」という感覚で、気軽に楽しんでいただければ嬉しいです。

次回は第9回、「免疫と防御 ― 体を守る見えない軍隊」
風邪や感染症、アレルギー、がん予防にも関わる「免疫」の不思議な世界を、やさしく解説していきます。

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