
長い準備期間を経て、絵本『センサーキッズの冒険』の日本語版がついに完成しました。感覚統合に課題を持つ自閉症の子どもたちに寄り添い、その感じ方の“違い”を分かりやすく伝える本作は、ただの絵本ではありません。子どもと大人の架け橋となり、自閉症に対する理解と共感を広げる大切な一冊です。
自閉症と“感覚”の関係
自閉症スペクトラム障がい(ASD)を持つ子どもたちは、よく「コミュニケーションが苦手」「こだわりが強い」といった認識で語られがちです。しかし、ASDの根底には“感覚の受け取り方”に関する独特な特徴があります。
例えば――
音が大きく聞こえすぎて苦しい.
服のタグがどうしても耐えられない
人の気配やにおいに過敏に反応する
一方で、痛みや寒さには鈍感だったりする
これは決して「わがまま」でも「しつけの問題」でもなく、脳の情報処理の仕組みによる“感覚の凸凹”が影響しています。
「センサーキッズの冒険」が描くのは“感覚のちがい”
絵本『センサーキッズの冒険』は、この“感覚のちがい”に光を当てた作品です。物語には、4人の子どもたち「エマ」「プロ」「ビジィ」「テレサ」が登場し、それぞれが異なる感覚の特徴を持っています。
たとえば――
エマは、音や光に対して特に鋭く反応。
プロは、体の動きを感じる感覚(固有受容覚)が独特。
ビジィは、バランス感覚や前庭覚に課題を抱えやすい。
テレサは、においや味、触れることに敏感。
これらのキャラクターを通じて、子どもたちは「この子、私みたい!」と感じ、大人たちは「この感覚にはこういう背景があるのか」と気づきます。

自閉症の“困りごと”を「わかってもらう」ために
自閉症の子どもたちは、自分の感じ方を言葉で伝えることが難しい場合があります。そのため、まわりの大人にとっては「なぜ泣くのか?」「なぜパニックになるのか?」が理解できず、対応に悩むことも多いでしょう。
そんな時、この絵本は“共感の入口”となります。
「どうしてこの子はこういう行動をとるのか」
「どんな感覚の背景があるのか」
そのヒントが、キャラクターの姿を借りて自然に描かれています。
教育・医療・家庭での活用を期待して
この絵本は、家庭だけでなく、保育園・幼稚園・小学校、そして医療・リハビリ・福祉の現場など、あらゆる場所で活用されることを願っています。
特に保育者や教育関係者、作業療法士、言語聴覚士といった専門職の皆様には、子どもたちの「感覚の特性」を理解する一助としてぜひ手に取っていただきたいです。絵本というメディアのやわらかさを通じて、専門的な内容もぐっと身近に感じられるはずです。
福田かおる議員にも共感いただきました
先日、衆議院議員・福田かおる先生とお会いし、自閉症支援の課題と共にこの絵本の趣旨をご説明しました。福田先生は深く共感してくださり、「この絵本が多くの家庭と教育現場に届くことを願っている」とお言葉をいただきました。
完成した絵本は、福田先生にもお届けする予定です。このように、政治の場でも自閉症への理解と支援が広がっていくことを強く願っています。

ご購入はこちらから
『センサーキッズの冒険』は現在、以下の健療出版公式ウェブサイトよりご購入いただけます。
ぜひ、ご家族や教育現場での読み聞かせにご活用ください。
📖【絵本購入ページ】
https://kenryo.base.ec/items/105758274
また現在Amazonでの販売に向けた準備も進めており、順次取り扱いを開始いたします。
2巻〜4巻の日本語版制作にご支援をお願いいたします
本作は第1巻ですが、実はアメリカではすでに2巻・3巻・4巻も出版されています。それぞれに異なる感覚特性の子どもたちが登場し、さらに多様な「感覚の世界」を描いています。

私たちは、これらの絵本も日本語に翻訳し、多くの方に届けたいと考えています。そのために、皆さまからの温かいご支援をお願いしたく、寄付金の募集を始めました。
🌟【寄付金のお願い】
2巻〜4巻の翻訳・出版のための資金として活用させていただきます。ご支援いただける方は、
下記の振込先へお振込みをお願いいたします。
【振込先】
三井住友銀行 八王子支店(843) 普通8594541
一般社団法人アルデバラン 代表理事 宮本芳恵
*ご寄付をお振込いただけました際には、恐れ入りますがメールにてご一報いただけますと
幸いに存じます。
最後に
この絵本は、「自閉症の子どもが抱える“見えにくい困りごと”を、感覚の視点から理解してほしい」という想いから始まりました。
子どもたちの感じている世界に少しでも近づくために。
そして、子ども自身が「わかってもらえた」と思える瞬間が少しでも増えるように。
『センサーキッズの冒険』が、そのきっかけになればと願っています。
今後もブログを通して、絵本の進捗や感覚統合に関する情報、自閉症支援の活動などを発信してまいります。どうぞ応援をよろしくお願いいたします。