こんにちは。こちらのブログで、何度かご紹介しているACP(アドバンス・ケア・プランニング)。元気なうちから、将来受けたい医療やケアについて話し合っておこうと言うものですが、どこから始めれば良いか悩むことも多いかと思います。今日は、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を進めるきっかけにもなる「もしバナゲーム」についてご紹介します。
もしバナゲームとは?
「もしバナゲーム」は、アメリカのCoda Allianceが開発した「Go Wish game」を日本向けに翻訳・アレンジしたもので、「もしも余命が半年~1年だとしたら」というシナリオをもとに、「人生の最期にどう在りたいか」「自分が大切にしたいこと」をカードで選び、それを他の人と話し合うためのツールです。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の一環として、最期について話し合うことは非常に重要ですが、多くの人にとっては難しいテーマです。特に元気な時には、「最期」について考えるのは縁起でもないと感じ、話し合いを避ける傾向があります。しかし、「もしバナゲーム」を使えば、そんな難しい話題を考えたり話し合うことができます。
もしバナゲームの進行とその意味
1セットには36枚のカードが入ってい ます。そのうち35枚には、重病のとき や死の間際に「大事なこと」として人 がよく口にする言葉が書いてあります。たとえば、「どのようにケアして欲しいか」、「誰にそばにいて欲しいか」、そして「自分にとって何が大事か」、という内容です。1人でも、2人でも、またもっと多くの 人数でもゲームをすることができます。
「もしバナゲーム」ソリティア・・・ルールに従い、10枚を選択します。なぜ、その10枚があなたにとってのトップ10なのか? その理由を家族や友人たちにどう説明するか考えます。また「重要でない」カードの山についても、説明できるように理由を考えていきます。そして、時間を作って選択について 話し合っていくことにより、あなたにとって何が重要なのか、そして、なぜそれが必要なのかを考え、理解することができます。
「4人用ルール(ヨシダルール)」・・・このルールでは、各人に配られる5枚のカードの取捨選択を通して、自分自身が大切にしていることに優先順位を付け、その思考プロセスを言語化し、それをグループで共有し合います。
自己の内面を見つめながら、他のプレイヤーの価値観に触れることで、1人では得られない、新たな気づきを得ることができます。
ACPともしバナゲームの関係
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)は、将来の医療やケアについて事前に話し合い、自分の意志を明確にしておくことを目的としています。もしバナゲームは、ゲームを通じて、自然な形で「最期」についての会話を始めることができるため、元気なうちに自分の意志を伝えやすくなります。また、このゲームを定期的に繰り返すことで、自分の価値観がどのように変化しているのか、あるいは変わらない部分がどこにあるのかを確認することもできます。
私も同僚や家族と、もしバナゲームを何回か行ってきました。同僚数名と行った際には、意外な一面を知ることが出来たり、同じカードを選んでいても、その人それぞれの価値観があることに気付かされました。家族と行った際には、重い雰囲気にならなず気軽に話し合える場が生まれ、子供たちに私の価値観を伝えることができました。
元気なうちから「縁起でもない話」を
「もしバナゲーム」は、元気なうちから「縁起でもない話」を当たり前のように語り合うことができる社会を目指しています。最期について話すことは、通常、避けられがちで、重苦しい雰囲気になりがちです。しかし、もしバナゲームを通じてこの話題に取り組むことで、気軽に話し合える環境が提供されます。
ゲームを通じて普段なかなか話しづらいテーマを取り上げ、自分の価値観と向き合い、他者との違いを理解することができます。そして、その違いを尊重し、他者に対する配慮が深まると同時に、自分の意志も尊重されるようになります。
まとめ
もしバナゲームは、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を実践するための有効なツールの一つです。普段なかなか話しづらい「最期」について、自然な形で話し合うことができ、自己理解と他者理解を深めることができます。もしバナゲームを通じてACP(アドバンス・ケア・プランニング)の重要性に気づき、皆さんが自分自身や大切な人との対話を深めるきっかけとなれば幸いです。