厚生労働省の統合医療サイトより、統合医療に含まれる以下の20の治療法を順番に解説しております。
①鍼治療(Acupuncture) ②抗酸化物質(Antioxidants)③アーユルヴェーダ医学(Ayurvedic Medicine)④カイロプラクティック(Chiropractic)⑤ホメオパシー(Homeopathy)⑥マッサージ療法(Massage Therapy)⑦瞑想(Meditation)⑧自然療法(Naturopathy)⑨経口プロバイオティクス(Oral Probiotics)⑩太極拳(Tai Chi)⑪ヨガ(Yoga)⑫脊椎マニピュレーション(Spinal Manipulation)⑬レイキ(霊気)(Reiki)⑭リラクゼーション法(Relaxation Techniques)⑮アロマセラピー(Aromatherapy)⑯催眠療法(Hypnosis)⑰気功(Qigong)⑱心身療法(Mind and Body Practices)⑲リフレクソロジー(Reflexology)⑳中国伝統医学(Traditional Chinese Medicine)
これらの治療法は、現代医学と組み合わせて使用され、患者の全体的な健康と福祉をサポートすることを目的としています。今回は⑰気功(Qigong)についてご紹介します。
1. 気功とは何か?
「気功」とは、中国伝統医学のひとつであり、「気(エネルギー)」を調整・増強し、健康の維持・回復を図ることを目的とした心身鍛錬の方法です。
- 「気」 … 生命の根源的なエネルギー。東洋医学では、体内を流れる「気」が健康状態を左右するとされています。
- 「功」 … 修練、鍛錬の意味。つまり、「気功」は「気を修めるための練習・鍛錬」と言えます。
気功は、動作・呼吸・意識の3つを柱とし、これらを調和させることで、心身を整えるとされています。
2. 気功の歴史と背景
気功の起源は非常に古く、数千年前の中国の道教・儒教・仏教などの思想や、伝統医学、武術と深く結びついています。
- 医療気功 … 中医学の一環として用いられる。病気予防・治療を目的とする。
- 養生気功 … 健康維持・老化予防のための練習。
- 武術気功 … 太極拳などにみられる、身体能力と精神集中を高めるための気功。
- 宗教的気功 … 禅宗や道教での修行の一環としての気功。
現在では、特定の宗教色を持たない、健康法としての「現代気功」が広く普及しています。
3. 気功の3つの柱:「動作」「呼吸」「意識」
● 動作(動功/静功)
- ゆったりとした繰り返し動作、または静かに立つ、座るなどの型。
- 代表的なもの:八段錦、五禽戯(ごきんぎ)など。
● 呼吸(調息)
- 深く、ゆっくりとした自然呼吸。
- 腹式呼吸(丹田呼吸)を中心に、気を巡らせる。
● 意識(調心)
- 雑念を取り払い、呼吸や動きに意識を集中させる。
- 瞑想状態に近い「心の静けさ」が重視される。
この3つの調和がとれて初めて、気の流れが整い、体調や精神状態の改善に繋がるとされています。
4. 気功の健康効果とは?
気功は、以下のような心身へのポジティブな影響が報告されています。
■ 身体面
- 血行の改善、筋肉の緊張緩和
- 自律神経のバランス調整
- 免疫機能の向上
- 慢性痛・関節炎・高血圧の改善
■ 精神面
- ストレス軽減
- 不眠の緩和
- 集中力の向上
- 情緒の安定
実際に、欧米の医療機関や高齢者施設などでも、Qigongが代替療法・補完療法として導入されています。
5. 気功と他の療法との違い
比較項目 | ヨガ | 太極拳 | 気功 |
発祥 | インド | 中国 | 中国 |
特徴 | 柔軟性と瞑想 | 武術的な型と動作 | 呼吸・動作・意識の調和 |
目的 | 精神統一・柔軟性 | 健康と護身 | 健康とエネルギー調整 |
呼吸法 | プラーナ呼吸 | 型に合わせた自然呼吸 | 丹田を意識した深い呼吸 |
動きのスタイル | 動きと静止 | 流れるような型 | 静かな動きや静止姿勢が多い |
6. 気功を生活に取り入れるには?
初心者が無理なく取り組むには、以下の方法がおすすめです。
- 毎日5〜10分でも継続する
- 「立禅(りつぜん)」のようなシンプルな姿勢から始める
- 動画教材や書籍を活用する
- 地域の気功教室や体験会に参加する
無理のないペースで始め、続けることが何よりも大切です。

まとめ:呼吸と動きで心と体を整える、シンプルで深い健康法
気功は、身体を柔らかく整えるだけでなく、心を静かに調え、ストレスや不安を和らげてくれるセルフケアのひとつです。特別な器具や場所も必要なく、誰でも年齢を問わず始められるのが魅力です。
現代の忙しい生活の中で、「呼吸を整え、体と対話する時間」を持つことは、私たちの健康にとって大きな価値があります。ぜひ、日々の生活の中に気功を取り入れてみてください。