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一般社団法人アルデバラン

催眠療法(Hypnosis)〜統合医療⑯〜

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厚生労働省の統合医療サイトより、統合医療に含まれる以下の20の治療法を順番に解説しております。

①鍼治療(Acupuncture) ②抗酸化物質(Antioxidants)③アーユルヴェーダ医学(Ayurvedic Medicine)④カイロプラクティック(Chiropractic)⑤ホメオパシー(Homeopathy)⑥マッサージ療法(Massage Therapy)⑦瞑想(Meditation)⑧自然療法(Naturopathy)⑨経口プロバイオティクス(Oral Probiotics)⑩太極拳(Tai Chi)⑪ヨガ(Yoga)⑫脊椎マニピュレーション(Spinal Manipulation)⑬レイキ(霊気)(Reiki)⑭リラクゼーション法(Relaxation Techniques)⑮アロマセラピー(Aromatherapy)⑯催眠療法(Hypnosis)⑰気功(Qigong)⑱心身療法(Mind and Body Practices)⑲リフレクソロジー(Reflexology)⑳中国伝統医学(Traditional Chinese Medicine)

これらの治療法は、現代医学と組み合わせて使用され、患者の全体的な健康と福祉をサポートすることを目的としています。今回は⑯催眠療法(Hypnosis)についてご紹介します。

心の扉を開く催眠療法(Hypnosis)とは?

「催眠」と聞いて、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
「テレビで見る、意識を操られるショーのようなもの?」「怪しげなマジックの一種?」――そんな印象を抱く方も多いかもしれません。

しかし、催眠療法(ヒプノセラピー)は、意識の深い部分にアプローチし、自分の内なる力を引き出すための手法として、古くから多くの人々に親しまれてきました。実際、私たちは日常生活の中でも、無意識のうちに「催眠状態」に似た経験をしているのです。

今回は、そんな催眠療法について、その歴史や基本的な仕組み、活用方法などを分かりやすくご紹介していきます。

1. 催眠とは何か?

催眠とは、簡単に言えば「意識がリラックスし、外界からの刺激に対して選択的に集中している状態」のことを指します。これは決して「意識がなくなる」わけではなく、むしろ意識はクリアなまま、深い集中状態に入っているのです。

私たちは、例えば本に夢中になって周囲の音が聞こえなくなったり、ぼんやりと風景を眺めて時間を忘れたりすることがありますよね?これも一種の「日常的催眠状態」と言えるのです。

催眠療法では、このような自然な意識の状態を利用し、自分の潜在意識に働きかけることで、心の深い部分にある思考パターンや感情にアプローチしていきます。

2. 催眠療法の歴史

催眠療法の歴史は古く、紀元前3000年のエジプトやギリシャの神殿でも、神聖な儀式の中で催眠に似た状態を作り出していたと言われています。近代においては、18世紀の医師フランツ・アントン・メスメルが「動物磁気説」を唱え、人々を催眠状態に導くことで癒しをもたらしたとされています。これが「メスメリズム」と呼ばれる、催眠の初期の形です。

19世紀にはジェームズ・ブレイドという医師が「催眠」という言葉を提唱し、科学的に催眠の仕組みを研究し始めました。その後、フロイトも催眠に興味を持ち、無意識の探求の一環として催眠を取り入れました。

20世紀には、催眠療法は心理療法の一つとして確立し、リラックスやイメージ療法、自己暗示などと組み合わせて使われるようになりました。

3. 催眠療法の基本的な仕組み

催眠療法は、大きく以下のような流れで行われます。

1. リラクゼーション

まず、心身をリラックスさせることから始まります。深呼吸や静かな音楽、セラピストの穏やかな声によって、徐々に心が落ち着いていきます。

2. 催眠誘導

次に、セラピストの言葉によって、意識を集中させていきます。「まぶたが重くなってきます」「身体がだんだん軽くなっていきます」といった暗示によって、自然な催眠状態へと導かれます。

3. 潜在意識への働きかけ

催眠状態に入ると、普段は意識しない心の深い部分――潜在意識にアクセスしやすくなります。ここで、自分の中にある思い込みや恐怖、不安などに対して、新たな視点や肯定的な暗示を与えることで、心のバランスを整えていきます。

4. 覚醒

最後に、セラピストの誘導で、意識をはっきりとした状態に戻します。催眠から目覚めた後は、多くの人がスッキリとした感覚を得られると言われています。

4. 催眠療法はどんな場面で使われるの?

催眠療法は、さまざまな目的で活用されています。以下は、よく使われるテーマの一例です。

リラクゼーション:日常のストレスから解放され、心身を深くリラックスさせたい時に。

自己肯定感の向上:自分をもっと好きになりたい、自信を持ちたいという願いに対して。

習慣の改善:例えば、ダイエット、禁煙、早起きなど、望ましい習慣を身につけたい時。

集中力の強化:勉強や仕事での集中力を高めたいときに、潜在意識に働きかける。

過去の記憶の癒し:過去の出来事による心のしこりを癒し、前向きな気持ちを取り戻す。

もちろん、催眠療法は「魔法のように何でも解決する」わけではありません。自分自身の気持ちや意志を大切にしながら、ゆっくりと内面を見つめ直す一つの手段として活用されます。

5. 自宅でできるセルフ催眠のすすめ

「催眠療法に興味はあるけれど、セラピストに頼るのはちょっと…」という方のために、セルフ催眠という方法もあります。これは、自分で自分を催眠状態に導き、心を整えるというものです。

セルフ催眠の簡単な方法

静かな場所に座る、もしくは横になる。

目を閉じて、深呼吸を数回行う。

「私は今、どんどんリラックスしている」と心の中で繰り返す。

自分がなりたい状態や、望んでいることをイメージする。

最後に、「このイメージは私の中にしっかりと根付いた」と言い聞かせて、目を開ける。

このように、日常生活の中でも、簡単に催眠的なリラクゼーションを取り入れることができます。

6. 最後に――催眠は「心の自然な休息法」

催眠療法は、決して特別な能力や道具が必要なものではありません。誰もが持つ「心の力」を、自然な形で引き出す方法です。

忙しい毎日の中で、自分の心に耳を傾ける時間を持つことは、非常に大切です。催眠療法を通じて、自分自身の深い部分と対話し、より豊かで心地よい人生を送るためのヒントを見つけてみてはいかがでしょうか。

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